道徳教育の教科化は子ども達に何をもたらすのか?

3月議会報告<一般質問>

  • 道徳教育の教科化について

道徳教育の教科化は子ども達に何をもたらすのか?

△道徳教育の教科化については2007年第一次安倍内閣においても提案されましたが、この時は道徳を評価するということを巡って反対が多く実現しませんでした。

△しかし、2011年秋、大津市の中学生がいじめを苦に自殺した事件を機に2013年2月第二次安倍内閣の教育再生実行会議において「道徳教育の教科化」が再度打ち出され、2014年10月に中央教育審議会は異例の速さで「道徳を特別の教科」とすることを答申しました。今回の答申では「教科」であるからには検定教科書を導入すること、また、「評価」を行っていくことが含まれています。

△いじめを解決するために早急に道徳を強化する必要があるという建て前ですが、それは子ども自身に変わることを求めるやり方で、いじめを無くすためには、まず、子どもを取り巻く環境の改善や大人の対応が変わるべきだという視点を忘れてはなりません。

△さらに、子どもの考え方から行動まで全面的に評価の対象となる、このことが子ども達にどのような影響を与えるのかよく考えなければなりません。

△国が定めた特定の価値観、「愛国心」の刷り込みやグローバル企業にとって都合のいい人材の育成に力が入りすぎていないか、そのような批判に対し文科省の報告書では「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず誰かの言いなりになるようなこと」は避けるべきで、「自分自身も社会に参画し、役割を担っていくべき立場にあることを意識させたり、社会の在り方について多角的・批判的に考えさせたりするような、社会を構成する一員としての主体的な生き方に関わる教育(いわゆるシティズンシップ教育)」が重要であると述べています。

生活者ネットワークは、道徳教育が自覚ある市民を育てるシティズンシップ教育と連携し、誰も排除されない社会(ソーシャルインクルージョン)の実現につながることを願うものですが、「評価」については無意識に子どもの萎縮を招く恐れがあるので、反対の立場です。

 

Q実施のスケジュールについて

A「特別の教科 道徳」は、小学校においては平成30年4月から、中学校においては平成31年4月か         ら完全実施。教育委員会では平成28年度から授業の一部に新しい指導内容や指導方法を取り入れることを指示、平成28年度初めまでに全教員に校内研修を実施、平成28年度には稲城市立学校教育研究会道徳部において学習評価方法についての研修・研究を行っていく。