性の多様性を認め合う施策を推進しよう!
◆「同性パートナーシップ制度」は自治体が独自でできる「社会的承認」
▼現在、「同性パートナーシップ制度」を採用している自治体は6自治体です。
2015年11月に渋谷区と世田谷区で同時にスタート、2016年には三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市、2017年6月には北海道札幌市において導入され、日本の中で3%の人がこの制度を使えるようになりました。
▼「同性パートナーシップ制度」は「同性婚」と混同されやすいのですが、憲法24条に規定された婚姻関係のような法的拘束力は無く、税金の配偶者控除などは受けられません。同様に、社会制度上配偶者であれば受けられる制度の利用も保障されてはいません。それなのになぜこの制度が求められるのか、証明書を取得したカップルの声を聞けばわかります。「今日この日を迎えられて嬉しさがこみ上げてきます。これまで、ふさぎ込みがちになることもありましたが、二人の関係がパートナーとして認められて、やっと、表に出てもいいんだなという気持ちになっています」というように「社会的承認」を得るという目的が大きいのです。
誰もが、ありのままの自分を表現し、自分らしく、生きがいと誇りを持って生きることは基本的人権の根幹をなすものです。
「同性パートナーシップ制度」は、見えないものとされている「性の多様性」の問題を可視化する象徴的な役割を果たしています。この制度の導入により企業や社会での理解や、不当な扱いを無
くそうという動きが広がってきている事が重要です。
婚姻制度そのものを変えるためには、幅広い議論と憲法の改正が必要ですが、同性パートナーシップ制度は自治体としてできる範囲で「多様な生き方」を後押しできる制度であり推進していくべきと考えます。
Q)「同性パートナーシップ制度」について市の認識は?
A)多様な価値観や生き方を認め合い、人権への理解を深めるための取り組みである。
Q)導入すべきでは?
A)行政が個の領域に不必要に介入すべきではなく導入は考えていない。
▼「週間アエラ6月12日号」の特集記事に「同性婚」や「LGBT支援」に関する首長アンケート結果が掲載され(104自治体)、「同性婚」にはっきりと「反対」している3人の首長に稲城市長が含まれていました。市長の回答の中には理解不足と思える珍回答もありましたが、市長の考え方が市の回答に強く影響していると感じました。
「情報の正しい普及啓発は必要」と市長も答えていますが、それこそが「不当な差別」をなくすために必要な施策であり、今後の積極的な取り組みを期待します。
◆稲城市立病院の性の多様性への配慮は?
▼性的指向や性自認が非典型であると、医療機関の受診がためらわれたり、十分な治療を受けることが出来なかったりすることがあります。
▼稲城市は市立病院を持っていますから、性の多様性に配慮した対応を整えていかなくてはなりません。そこで、以下の質問をしました。
Q)受診における最初のハードルである受付では、呼び出しや受診相談などにどのような配慮がされているのか?
A)呼び出しにおいては現状も患者の希望に応じて受付票の番号や苗字のみでも可能。受診相談を医事課の患者相談窓口で看護師やメディカルソーシャルワーカーが対応、相談室で個別に対応可能。
Q)診察・治療においてプライバシーを保ちつつ、性的指向・性自認などについても話しやすい体制はできているか?
A)出来ている。
Q)入院時の病室、トイレ、入浴、入院着等の配慮は?
A)トイレ、入浴は男女別なく個人対応、入院着の指定は無い。病室は男女別となるので相談の上個室対応が可能(個室料金が発生するため、改善を要求しました。)
Q)病院における手続きや病状説明、終末期の看病や立会い、出産時の立会いなどについて同性パートナーも可能か?
A)患者の意向に従う。患者の意識がない場合は所持品などから家族を中心に連絡を取り、慎重に進める(内縁関係も同様)。
Q)「緊急連絡先カード」などを作成し所持しておくことは有効か?
A)有効である。
▼稲城市立病院では基本的に患者の意向を尊重するという考え方のもとに配慮されていることが分かりました。受診に不安のある方は個室での相談が可能ですから、事前に連絡して相談してから受診する事ができます。これ等をさらに周知していくことを求めました。
(2017年9月議会 一般質問より)