「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」「幼稚園教育要領」の同時改訂について
2018年3月議会≪一般質問≫より
◎幼児教育3法令の同時改訂は何のため?稲城らしい幼児教育について語り合う場が必要です!
平成29年3月31日、幼児教育に関連する3法令(「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」「幼稚園教育要領」)の改定・改訂が同時に告示され、1年間の周知・研修期間を経て平成30年4月1日より実施となりました。
■どのような点が変わったのかについて質問をしました。保育・幼児教育の大きな節目となるこの改訂を保育・幼児教育に携わる人たちが共有し、稲城らしい幼児教育について語り合う場が必要です。
▼幼児から高校までを貫く『3つの柱』
今回の改訂は、幼児から高校までの教育指導要領の改訂を視野に入れた全体の流れの中で見ていく必要があります。
3法令に共通する改訂のポイント『3つの柱』。「何を知っているか、何ができるか」「知っていること・できることをどう使えるのか」「知っていること・できることを社会にどう生かしていけるのか」が高校までの全ての教育指導要領の共通の改訂ポイントとして貫かれています。
幼児教育を小学校にスムーズにつなげることが重視され、小学校就学前時点で幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』を掲げました。
『10の姿』
[健康な心と体] [自立心] [協同性] [道徳性・規範意識の芽生え] [社会生活との関わり] [思考力の芽生え] [自然との関わり・生命尊重] [数量・図形・文字等への関心・感覚] [言葉による伝え合い] [豊かな感性と表現]
小学校の先生は入学してくる子どもたちを理解する手がかりとしてこれを用い、小学校教育課程に新たに加えられた入学当初の「スタートカリキュラム」に取り組むことになります。
▼『10の姿』は到達目標ではないと市は明確に回答しました!
ややもすると、この『10の姿』を小学校入学前の到達目標と捉え、「何を知っていて、何ができるか」ということに関心が集中しがちになりますが、あくまでも幼児教育と小学校が子どもを理解するために共通の視点を持つことが目的であり、「就学前にここまで到達しなければ」という「到達目標」ではないということを市は明確に回答しました。
一人一人の子どもの育ちは月齢や環境、子ども自身の興味・関心によっても大きく違いますから『10の姿』は、その違いを理解するための共通言語であると関係者、市民も良く理解しておく必要があります。
▼「非認知能力」を育む幼児教育の重要性
今回の改定でもう一つ注目すべきは、「心の力」ともいえる「非認知能力」の大切さに光を当て、これらが育まれる幼児期の教育の重要性に言及している点です。
「非認知能力」とは、例えば、自分を愛し自分に自信を持つ「自尊心」や「自己肯定感」であったり、目標に向かって粘り強く頑張る力や、衝動を抑え自分の行動をコントロールする力、他者の気持ちを理解しようとする「共感」や「思いやり」を持ったコミュニケーション能力などです。
これらは日本の幼児教育が大切にしてきた内容でもあり、幼児期に信頼できる大人とのアタッチメントや子ども同士のかかわりの中で育まれるということが分かっています。環境を通して行う幼児教育の重要性が改めて認識されたことは喜ばしいことです。
▼関係者の交流・意見交換の場をつくり稲城らしい幼児教育を目指そう!
幼児教育の「5領域」(「生きる力の基礎」となる「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」) の考え方を『10の姿』に置き換えて小学校の先生に伝えていくことになりますが、幼児教育ではどのように子どもたちに接してきたのかを小学校の先生方が知ることは良い効果があると期待されます。
また、幼児教育の関係者がこうした教育内容について意見交換や実践交流の場を持つことや小学校との交流を行っていくことは、稲城らしい幼児教育の確立のためにも、保育や教育の質を保つためにも重要です。
今後4年間に11園の認可保育所が増設される計画であり、これ等の園もしっかりと幼児教育のネットワークに参加できるよう市としても場の提供などに力を入れていくべきと考えます。
市は市立保育園園長会、私立保育園園長会、私立幼稚園、園長会を中心に意見交換を進めていくと回答しています。これに期待し注目していきたいと思います。